日本は貿易で年間70兆円くらいの輸入をしていて、そのうち穀物の輸入は7,000億円(1%)くらいみたいだ。食料品のカテゴリーで分類されているのが5兆円(1割弱)くらいで、それに、なたね油のような油脂や食い物にかかわっていそうな輸入品目の金額を加えると6兆円くらいになるだろうか。7,000億円の穀物を輸入しているといっても、どうも一般に考えられる食用の穀物の割合は少ないらしく、畜産や養鶏みたいのに多くが用いられているらしい。
このことについては、もちろん自由化の方向でなければならないけれども、食糧の安全保障の問題との兼ね合いも問題にしなければならない。
1999年にコメを輸入できるようになったらしいけれど、ということは、それ以前には日本ではコメを輸入することはできなかったらしい。(表記が米ではなくコメとしているのは植物の名称はカタカナで表記することになっているから)
関税をかけることで一定量のコメを輸入することができるようになっても、現在、主食として食用にしているコメは国産が100%らしい。泡盛とか加工食品の原料として輸入されていてもコメ全体の消費としては90%以上の自給率を保っている。これは日本の消費者が外国産のコメと国産のコメと差別して~日本人の嗜好に合うコメが生産されているので、価格が安くても外国産のコメに向いた料理などで僅かに食されているだけだからかもしれない~外国で日本向けに日本人がうまいと感じるコメができるようになることは脅威かもしれない。
食糧の安全保障ということであればコメだけじゃなくてムギやマメも同じように規制をしていなければならない筈なのにコメだけが特別なのは、そのような思想だからだというような感じがする(2008年11月の投稿「タイ王国でデモ隊が空港を占拠したらしい」)。その為に、他の農産物で妥協をしているような感じがする。
ブロック経済の時代でも、関税障壁(関税を高くすること)でブロック外からの輸入を制限するようにしていたらしく、日本のコメのように特定の品目の貿易そのものを禁止するのは経済制裁措置みたいのを除いては珍しいかもしれない。
コメに限らづ関税障害を設けたり(関税を高くしたり)外国からの輸入を禁止すれば、国内のその産業を保護育成することができる。国内産業は政治をつきあげて何だかんだ理由をつけて外国製品の国内市場での競争力を弱めたいと思うのは当然のことだろうけど、多くの国でそのようなことをするとブロック経済の時代のようになってしまうような感じがする。程度の差こそあれ多くの先進国が農業で保護貿易を行っているのは、それが政治案件だからのような感じがする。選挙の票が絡んでくる訳で、自由貿易体制のなかで限られた我儘(わがまま)を理解してもらわなければならないカテゴリーであるという点では共通しているような感じがする。農業協同組合がこのような政治案件をかかえて票を取りまとめていることや、労働組合が賃金や労働条件についての政治案件をかかえて票をとりまとめていることは周知(多くの有権者が知っている)のことみたいだけれど(注1)、創価学会は財務を政治案件にして票をとりまとめているのだろうか?外国で病人や落ち込んでいる人に対して財務を仕掛けると・・・
日本では、趣旨は異なるけど自動車もコメみたいに何か思想が絡んでいるような感じがする~朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の主体農法は高度に機械化されているらしい(たらしい)(注2)。アメリカでも多くの人が自動車産業にかかわっているらしい~自動車産業が落ち込んだからということで輸入車に高い関税をかければ(一時的に)アメリカの自動車産業を保護することはできたかもしれない~自動車産業の労働組合なんかは政府をつきあげることはしなかった、あるいはできなかったみたいだ。
ブロック経済の時代でも関税を高くすることで貿易を制限していたらしくブロック外の国との輸出入が禁止されていた訳ではなかったらしい。現在、日本は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)へは大量破壊兵器関連貨物の輸出に限らづ総ての輸出が法律(外国為替及び外国貿易法)で禁止されているみたいだ(http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/downloadfiles/topics/n-korea/210616puresu.pdf)。
キューバ共和国では革命以前は食糧の多くをアメリカから輸入していたらしい。ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)などから多くの食糧を輸入していた1989年にヨーロッパの共産圏が崩壊しだして食糧や農業生産に必要な輸入が落ち込み~農業機械やメンテナンス・パーツ、石油を基礎とした化学肥料や農薬は、手に入らないか、価格が高騰したらしい。
続く
(注1)賃金の上昇を余儀なくされる為に、あまり急激でない原材料価格の上昇は経営にとって好ましいらしい(?)。
(注2)朝鮮民主主義共和国(北朝鮮)の農業について私は知らない。精神論で農業をやっているようなことを書いてあるサイトでも化学肥料の大量投入というようなことが書いてあったし、かなり機械化されていたという点は間違いないみたいだ。